計画的なようで結局は無計画な寄り道が楽しいです。
寄り道のあとは広島へ
今年も広島、竹鶴酒造さんの呑切会に参加させていただきました。

毎年同じアングルで撮っているなあと思いながら竹鶴社長の画像を撮らせていただきました。
毎年来させていただけることに感謝です。
竹鶴専務、石川杜氏、それぞれのお話は研究発表のような感じでした。
竹鶴専務のしてくださったお話
「清酒中の有機酸について」
ここ数年、竹鶴酒造さんのお酒の酸度は上がり続けています。
ご自身のお酒造りにおいて「決して結果を狙って造っているわけではない」とおっしゃる石川杜氏ですが、もし因果関係が少しでもわかるならば検証していただけるのはとても興味深いです。
私にとって宇宙語のような化学式の部分は全部とばして読みましたが、それでもとても面白い内容でした。
竹鶴専務、ありがとうございました。
石川杜氏のお話

今年のお酒造り、特に生もとの造りの中で見直した部分の根拠がどこからきているかの説明からはじまりましたが・・・
そこから続く壮大な「生もとのお酒の完成期の検証」と話の展開が面白かったです。
中世から近世の主な酒造書をあげて、酒造の歴史のどのあたりで「生もと」が完成したかを説明してくださいました。
何よりびっくりしたのは石川杜氏が原書を全部読んでいらっしゃることでした。
理由は「山廃」の得意な別の流派の杜氏組合の講習会で講演をするためだったのだそうです。
そのためだけに?
すごーい。
石川杜氏のお話は
・私は『生もと』が完成した頃が酒造りの頂点だったと思っている
・基本がそこにあるならば、そこを踏まえて何か新しいことを考えていいと思っている
・日本酒の不振のときこそ、温故知新のものを大事にすべきではないか
というように続いたと思います。
他にも印象に残った部分は
・短い期間に確立した『生もと』が一気に全国に広がったのは、『生もと』という造り方の枠がしっかり出来ていたから
・『生もと』は人を選ばない誰にでもできる技術
・その当時は技術を囲い込まなかったからお酒造りが発展した
などの言葉でした。
「文明は退化するが文化は進化する」という言葉をなんとなく思い出しました。
うーん、難しい話は苦手だけれど、たまには立ち止まって考えてみるのもいいかも。
さて、次は竹鶴ばかりのきき酒タイム。
今年発売された『小笹屋竹鶴生もと純米原酒』は平成21醸造年度のものです。
この年から生もとはすべて木桶仕込み。
木桶になって味わいの何が変わったかというのはうまく説明できませんが・・・
何か変わったのは確かです。
お酒の味わいの印象として変わったのは、お酒から感じる「強さ」の違いかな?と思います。
なんと表現したらわかりやすいか・・・
うまくは言えない・・・
あえて言うなら
「外に強く主張する強さではなく、自己の中でしっかり完結している強さ」
という感じでしょうか。
若いと飲みづらいと感じる竹鶴生もとのお酒ですが、21BYは強いけれど飲み手に主張してこない感じがします。
一つの部分だけが際立つ感じがしない。
生もとだから?
木桶だから?
熟成の過程でたまたま?
よくわかりません。
またこのわからない感じが『生もと』の面白さだなあ〜と思います。
それから楽しい懇親会

今年もいろいろお世話になりました。
竹鶴酒造の皆様、ありがとうございました。