今年もよろしくお願いいたします

2011年11月06日

第15回 小笹屋竹鶴呑切会

出雲からちょっと寄り道をして・・・
計画的なようで結局は無計画な寄り道が楽しいです。

寄り道のあとは広島へ
今年も広島、竹鶴酒造さんの呑切会に参加させていただきました。

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毎年同じアングルで撮っているなあと思いながら竹鶴社長の画像を撮らせていただきました。
毎年来させていただけることに感謝です。



竹鶴専務、石川杜氏、それぞれのお話は研究発表のような感じでした。


竹鶴専務のしてくださったお話
「清酒中の有機酸について」


ここ数年、竹鶴酒造さんのお酒の酸度は上がり続けています。
ご自身のお酒造りにおいて「決して結果を狙って造っているわけではない」とおっしゃる石川杜氏ですが、もし因果関係が少しでもわかるならば検証していただけるのはとても興味深いです。

私にとって宇宙語のような化学式の部分は全部とばして読みましたが、それでもとても面白い内容でした。
竹鶴専務、ありがとうございました。



石川杜氏のお話

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今年のお酒造り、特に生もとの造りの中で見直した部分の根拠がどこからきているかの説明からはじまりましたが・・・

そこから続く壮大な「生もとのお酒の完成期の検証」と話の展開が面白かったです。
中世から近世の主な酒造書をあげて、酒造の歴史のどのあたりで「生もと」が完成したかを説明してくださいました。
何よりびっくりしたのは石川杜氏が原書を全部読んでいらっしゃることでした。
理由は「山廃」の得意な別の流派の杜氏組合の講習会で講演をするためだったのだそうです。
そのためだけに?
すごーい。


石川杜氏のお話は

・私は『生もと』が完成した頃が酒造りの頂点だったと思っている
・基本がそこにあるならば、そこを踏まえて何か新しいことを考えていいと思っている
・日本酒の不振のときこそ、温故知新のものを大事にすべきではないか

というように続いたと思います。


他にも印象に残った部分は

・短い期間に確立した『生もと』が一気に全国に広がったのは、『生もと』という造り方の枠がしっかり出来ていたから
・『生もと』は人を選ばない誰にでもできる技術
・その当時は技術を囲い込まなかったからお酒造りが発展した

などの言葉でした。


「文明は退化するが文化は進化する」という言葉をなんとなく思い出しました。

うーん、難しい話は苦手だけれど、たまには立ち止まって考えてみるのもいいかも。



さて、次は竹鶴ばかりのきき酒タイム。

今年発売された『小笹屋竹鶴生もと純米原酒』は平成21醸造年度のものです。
この年から生もとはすべて木桶仕込み。

木桶になって味わいの何が変わったかというのはうまく説明できませんが・・・
何か変わったのは確かです。

お酒の味わいの印象として変わったのは、お酒から感じる「強さ」の違いかな?と思います。

なんと表現したらわかりやすいか・・・
うまくは言えない・・・

あえて言うなら
「外に強く主張する強さではなく、自己の中でしっかり完結している強さ」
という感じでしょうか。

若いと飲みづらいと感じる竹鶴生もとのお酒ですが、21BYは強いけれど飲み手に主張してこない感じがします。
一つの部分だけが際立つ感じがしない。

生もとだから?
木桶だから?
熟成の過程でたまたま?

よくわかりません。
またこのわからない感じが『生もと』の面白さだなあ〜と思います。


それから楽しい懇親会

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今年もいろいろお世話になりました。

竹鶴酒造の皆様、ありがとうございました。
posted by 大塚屋 blog at 11:06| 蔵元訪問

第2回 天穏呑み切り会

9月の話を11月に更新という恥ずかしいブログですが・・・
自分自身の備忘録のためにもちょっとずつ更新していきます。


『第二回 天穏 呑み切り会』

早朝の羽田までのリムジンバスの中からとった風景

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震災があってからこういう景色を見ると、あ、生きているんだなあと思ってしまう。
朝日や夕日って自分の中の時間を一瞬止める作用があるのかも。



さて、本題の『天穏 呑み切り会』です。
島根県出雲市にある板倉酒造さんの呑み切り会へ伺ってきました。

早朝便で出雲に入り、そのまま出雲大社へ直行!
今回は連休だったのでたくさん観光の方がいたのですが、人の少ない季節に行くと「神話の国」といわれる感じがよくわかります。
なんていうのかな、立派な社殿なのだけれど山から生えているという感じ。
今は平成の大遷宮ということで修造中の本殿が拝めず残念でした。

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今回、一緒に行ってくれた
吉祥寺 タイ料理の『ラコタ』のかなちゃん。

タイ料理のお店なのに、純米酒をお燗でも提供してくれます。
かなちゃんいわく「タイ料理も醗酵食品が多いから、日本酒と絶対合います!」

ホント、アツアツだと辛さ倍増なのですが、ぬる燗だとお料理と一緒に純米酒本来の旨みがからまって美味し〜い。
ある程度酸のしっかりしたお酒とよく合いました。
『ラコタ』さん、11月号『dancyu』に紹介されています。



出雲そばを食べた後は本題の呑み切り会へ


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穏やかで人格者でいらっしゃる板倉社長。
いつも本当にお世話になりありがとうございます。



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昨年の造りは杜氏になって独り立ち一年目だった岡田杜氏。
今年は挨拶される姿も何だか落ち着いて貫禄が出てきて、うーん、責任を負うってこういうことなんだなあと改めて感じました。


蔵の方針、目指す方向、具体的な造りの話を伺いました。

今はまだまだ大きな転換はできないけれど、できるところから変えていきたい。
できるだけ良心的にお酒を造って提供していきたい。
そういう蔵の良心を感じるお話でした。


きき酒タイム

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面白かったのは、純米吟醸以上は前杜氏で岡田杜氏の師でいらした出雲杜氏長崎杜氏の系譜を受け継ぎながら、純米酒クラスのお酒や生もと純米はしっかり岡田杜氏流になっていること。

造り分けているとしたら、造り手としてすごく感覚の鋭い方なのだなあと。


目指すお酒は
「料理に寄り添い、飲んだ人の心が安らぐお酒」
なのだそうです。

でも、ピンと張りつめた緊張感のある芯の強さも「天穏」の素敵な個性だなあと思ったり。
熟成して柔らかくなって、また違う表情を見せてくれるお酒でもあります。


今年の造りもとても楽しみにしています。


板倉酒造の皆様、どうもありがとうございました。
posted by 大塚屋 blog at 09:14| 蔵元訪問

2011年07月21日

『豊盃』三浦酒造さんへ

なでしこジャパンの感動や台風の心配、いろんなことがあるうちに時間は過ぎていきます。
自分の時間がもっと欲しい・・・

さて、10日近く前になりますが東北に行ってきました。

飛行機からみる景色はいつもと変わりません。

三浦酒造さんへ

機中で改めて思うのは、日本の国土って山が多いなあと。
それから田圃。
空の上から見る田圃の風景は区画の整然とした感じがあたりまえのように自然に溶け込んでいて、人の手が入った風景なんだけれど、自然の力に逆らわない人の手の入り方だなと思ったり。
都内(といっても練馬だけど)にある畑と違うのはそういうところ。

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弘前もとても暑い日でした。
ここが三浦酒造さん。

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主人いわく
「三浦酒造さんとのお付き合いは、君との付き合いより長いんだよ。」
考えてみればそうでした。
懲りずに大塚屋とお付き合いくださる三浦酒造さん、本当にありがとうございます。

三浦家の酒造兄弟のお兄様に蔵を案内していただきました。

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麹室。
字がちょっと違うかも・・・
壁は石を積んで作ってあります。
石造りの麹室は初めて見ます。
三浦家お兄様も他では見たことがないそうです。


ここ数年で随分蔵や機材を改良されたそうです。
天井の梁、柱も釘を打たないで作られています。
今でもこういう仕事をして下さる大工さんは貴重ですね。

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甑(お米を蒸す釜)の上の天井も、上手に蒸気が抜けるように設計されています。
ひとつひとつ説明をして下さって・・・
「見た目が大事ですから。」ですって。(笑)
はい。見た目も大事ですよね。

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三浦家お兄様。

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そのあとは三浦家の素敵なお母様と話しこみ・・・
電車の時間ぎりぎりになって焦りまくり、あわてて送っていただくというパターン。


三浦家の方々、どうもありがとうございました。
今度はゆっくりお話できるようにお邪魔させていただきます。

おまけ。

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posted by 大塚屋 blog at 06:38| 蔵元訪問

2011年02月23日

「辨天娘」太田酒造場さんへ

かれこれ1カ月ほど前…

『辨天娘』を造る太田酒造場さんへお邪魔させていただきました。

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ちょうど、鳥取は大雪の頃

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こんな景色や

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こんな景色

雪化粧ってこういうことを言うんだと実感。
住んでいる方にとっては大変かもしれないけれど、本当にきれい。
心が穏やかに静まっていく景色でした。


造りを一部拝見させていただきました。

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お仕事に対して本当に真摯で、朴訥な中島杜氏。
影からこそっと撮影。

中島杜氏のお酒は、とても素直な味わいです。

女性に例えたら「すっぴん美人」という感じ。
素朴で飽きがこなくて、ずーっと飲んでいられます。
飲んでいると温かな気持ちになれるお酒です。

お酒の味って、お米だけが作るんじゃないのかも。
そんな風に感じるお酒です。


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槽(ふね)から搾りたてのお酒。
この日は『強力』だったかな?
今年の「槽汲み」は優しい味わいでした。

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五百万石の麹米。
割れていなくて、きれいな形のままです。

『辨天娘』の太田酒造場さんでは、地元産米だけを使っていらっしゃいます。

休蔵していたお蔵で、お酒造りを再開されたのが平成14醸造年度。
今は
「地元のお米で造って、地元の人にいいお酒を飲んでもらいたい」
というコンセプトで造っていらっしゃいます。

蔵の想い、基本理念がしっかりしていらっしゃいます。


もう一つの大事な「作り」
「奈良漬」です。

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やっぱり地元産の若桜の「大根」と「胡瓜」を使って作っていらっしゃいます。

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毎年、新しい粕に漬け替えて、何年も寝かします。

「20KY、19DY」と書いてありました。
蔵のお嬢さん、陽子さんは「粕Yearかな?」とおっしゃっていましたが、「胡瓜(K)Year」「大根(D)Year」の略かな?
いずれにしても、本当に手間をかけて作っていらっしゃいます。

日本の保存食の知恵って本当に大切にしなくちゃ、と改めて思ったりします。

太田酒造場さんの「奈良漬」は甘みもあって、ご飯にもお酒にもよく合います。
ぜひ、お試しください。


蔵も隅々まで見学をさせていただいて…
こんなものも発見。

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こんな時代もあったのだなあと実感。


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試飲タイム、というにはちょっと贅沢すぎる時間。

味わいがしっかりあるのに、やっぱり素直な感じ、素朴な感じ、と思うのは太田酒造場の皆さんと一緒に味わうからでしょうか?
一口飲むと、食べるものが欲しくなる。
唾液が出てくるのがよくわかります。
食べるものと一緒に味わって美味しいお酒の代表格です。


陽子さんが「私が好きなお酒も!」と言って他の蔵のお酒もお燗につけて下さいました。
私も大好きなお酒だったけれど…

面白いですね〜。
太田家のお料理には、太田酒造場さんのお酒の方がしっくりと合う。

なぜ?

「水」
なのかな?
と思いました。

「地元のお米を使って造るお酒を、地元の方に飲んでいただきたい」
という太田社長の言葉
とても深い意味合いを持っているのだなあと思いました。

その土地の「水」とその土地の産物を一緒に味わえるということ。
何でも手に入る東京という場所にいる私たちの食事より、ずっと贅沢なことかもしれませんね。


こんな景色もめったに見られません〜。

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穏やかに心温まるひとときでした。

太田酒造場の皆さま、本当にありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 05:52| 蔵元訪問

2011年02月02日

泉橋酒造さんで研修

「竹鶴」の竹鶴酒造さんと、「辨天娘」の太田酒造さんでのことはまたゆっくり書くとして…

日曜日は大塚屋のスタッフ研修のため、泉橋酒造さんにお邪魔してきました。
いつも快く受け入れて下さる、橋場社長、泉橋酒造の皆さま、本当にありがとうございます。

お酒を飲むことも食べることも大好きな大塚屋の女性スタッフたちです。

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酒米の蒸しあがりの時間に合わせてお邪魔しました。

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蒸米の説明をして下さる橋場社長。
やっぱり、何度聞いても説明が上手です。

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麹室での作業も杜氏さんにみせていただきました。

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「そういえば、昔は家で麹でお魚やお漬物を漬けていたけれど、今は麹って見る機会ないですよね〜。」
「麹って今はどこで手に入るの?」
なんて話題になって…

「麹がもっと手に入りやすくなれば、お料理ももっといろんなことができるよね。」
とか
「日本人らしい食生活ももっと見直されたりするかしら?」
なんて話も出て…

こういうことにすんなり気が付いてくれるのはやっぱり女性たちです。
嬉しいです。


こんなところにも「トンボ」(笑)

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種麹と酵母のアンプルを見せて下さる橋場社長。

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立派な精米機。

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なぜかここにも「トンボ」(笑)

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お米が生産者ごとにパレットで保管してあります。
たとえ有機認証などをとらなくても、「顔の見える関係」というのがどういうことなのか、こちらにくるとよくわかります。
お酒という製品になるとこういうことは見えにくくなってしまって、「美味しいかどうか」「好みにあうかどうか」という部分でだけお酒を見てしまいがちです。
でも、やっぱりどうしてもこういうことにこだわりたくなってしまう。
私が女性だから?

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実演販売ならぬ、精米の実演をしていただきました。
精米したての酒米。

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ちなみに、これは扁平精米ではないそうです。

泉橋酒造さんでは扁平精米にこだわっています。
精米歩合は「重さ」で測定されます。
たとえお酒造りに向かないところが削られず残っていたとしても、最初に設定した精米歩合の重量になったとき、機械は終わったと判断して止まってしまうのだそうです。
だから、同じ精米歩合でも扁平精米の方が
「お酒造りに向くところをちゃんと残して、お酒造りに向かないところはちゃんと削られている」
のだそうです。


今年初挑戦の「生もと」のための半切り桶。

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どんなお酒になるか楽しみですね。


田圃のすみっこで、ヤゴとヤゴの卵が越冬していました。
健康な田圃。

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泉場酒造の皆さま、朝早くからお邪魔させていただき、ありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 10:37| 蔵元訪問

2010年12月04日

千葉 寺田本家さんへ

10月、11月はお酒の会や試飲会の季節。

今年お手伝い(「遊びに」と主人は言いなおす)に行かせていただいたのは
10月31日
船橋にある「酒のはしもと」正木さんのお酒の会
『純米酒エルボー』
11月21日
藤沢「とちぎや」さん
同じく藤沢「勝浦酒店」さんの会
『うまいじゃん純米酒』

どちらも純米酒をこよなく愛する先輩酒屋さんたちのお酒の会。
どちらもとてもいい会でした。
お近くの方はお店にぜひ。


それからこの季節に試飲会が多いのはワイン。
海外ワインも国内ワインも少しずつ充実させたいと思っております。


さて、11月26日はお酒造りの見学。
平成22酒造年度、今期初の造りの見学です。

千葉県の香取にある寺田本家さんに生もとのもと摺り見学にお邪魔させていただきました。
寺田本家さんのお酒は
「五人娘」「香取」「醍醐のしずく」「しぼったまんま」「むすひ」など。

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一口に「生もと」造りのお酒と言ってもいろんな味わいのものがあります。

なんとなく
「生もとらしい味わいだな〜」
と思うもの。
「速醸っぽく仕上げているな〜」
と思うもの。

どう違うかとうまく説明できないし、それぞれのお酒に役割の違いもあるし、造り手さんひとりひとりが目指しているものは違うから何がいいとは一概に言えないのだけれど…

やっぱり自然な味わいが好き。

これは、食べ物の好みと共通するのかもしれませんね。


「生もと」のもと摺りはいろんなお蔵で見せていただいたことがあります。
造り手の方に詳しく教えていただいたり学術的な資料も読んでみたりしたのだけれど、「なるほど〜」という実感が少しだけでも得られるようになったのはごくごく最近のことのような気がします。
頭だけで理解するのが苦手(←特に理科系はまったくダメ)というのもあるのだけれど、やっぱり体験に勝るものはありません。

目的は違うのだけれど、自分でりんごとハチミツと水で「アップルタイザー」や「酵母液」(これは料理に使う)を作ってみたり、「ぬか漬け」を米ぬかから作って毎日かき回していたりして、ようやく生もとの作業の意味が見えてきました。
なんじゃそれって言われそうだけれど。(笑)

薬品がなかった時代の昔の人が、長い時間をかけて経験であみ出した手法ってすごいです。
「生もと」が「お米」を確実に「お酒」にするための手法だったというのがなんとなくわかります。
だって、もともと糖分や水分を含んでいる果物じゃないんですよ〜。
穀類の「お米」を「お酒」にするのって凄いことですよね。

完成された手法となるまでに昔の人はどれだけ苦労してどれだけのお米をつぎ込んできたのかなとぼんやり考えていたら、「伝統」という言葉の重みがちょっとだけわかりました。



さてさて、作業中の画像を少し。

もと摺り前のお米の状態。

「埋け飯 いけめし」をした蒸米と麹が混ぜ合わされて麹が水分を吸っています。

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「埋け飯」をしていると、蒸米が老化してすり潰されても内部に水分を蓄えておくことが出来るんだそうです。
だから水が浮かない。
これは低精白のお米ほど顕著に表れるそうです。

今日のお米は吟醸クラスでした。

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摺った後はこんな感じ。

で、時間が経つと少しだけお水が浮いてくる。

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もと摺りの後、3時間経過した状態。
ちょっとだけ表面に水分が浮いてきています。
もう一度もと摺りをして、麹の内容物を溶出させてさらに糖化を進ませます。

もと摺りは櫂でお米を潰すのではなくて、物量を動かして、お米同士をこすり合わせることが目的なんだそうです。

状態が少しずつ変ってくるお米を見ていると、働いて欲しい微生物に働いて欲しいときに活動してもらうための環境作りをする作業だというのは、我々現代人は後付けの知識でなんとなく納得できます。
でも、こういう作業でそれができると思い付いた昔の人の発想って何からだったのかしら?と考えてしまいます。
微生物の働き、その働く時間、働きやすい環境。
経験でしかわからないことを積み重ねて、あるとき「こうすれば大丈夫」とわかったのでしょうか?

やっぱり「すごーい」の一言です。



蒸米の出来上がりを変えたり、作業時間を変えたり、温度帯に気を配ったりして「お米」を「お酒」にする方向へ正しく導くのは杜氏さん。
自然なお酒の作り方の中にも、杜氏さんによって考え方ややり方が違うのがとても面白い。

だから個性豊かないろんなお酒が出来るのですね。

藤波杜氏はご自分の体験をとても大切にされる方のように思います。


麹室にて。

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蒸米に麹菌を振りかけた後。

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モワモワっと麹菌が舞っているのがわかりますでしょうか?
日本酒を作る麹菌は「黄麹」ですが、緑だよねっていつも思う瞬間。
ちなみに焼酎を作る「黒麹」や「白麹」はグレーっぽい。

この菌が蒸米に食い込んでいって麹が出来ます。



次の画像は田圃の稲穂からとった「稲麹」を培養しているところ。
麹菌って、麹屋さんから買うもの、と思っていたけれど考えてみればもともと自然界にいるものだから、こういう方法も「アリ」なんですよね。

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水もお米も酵母も地元のものを使うのなら、麹菌もすべて同じ田圃から由来するものを使う。
ビオディナミとかビオロジックということについては勉強不足な私ですが、「地酒というならここまでこだわる」という蔵があっても面白いと思います。

本当にそれでお酒を造ってしまう寺田本家さんって…
藤波杜氏って…
やっぱり凄い。
面白い。



麹菌を繁殖している途中の蒸米の「切り返し」作業。

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さて、ここで間違い探しゲームです。(笑)
寺田本家さんの蔵の方ではない方が数名含まれています。


日本酒がもっと面白くなるために。
いろんなお酒をもっとたくさんのお客様に楽しんでいただけるように。

こういう交流が増えるといいですね。

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日本酒全体のためにと考えられる方たちを尊敬しています。

寺田本家さん、藤波杜氏、蔵の方々、ありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 08:45| 蔵元訪問

2010年11月15日

泉橋酒造稲刈り

朝晩の冷え込みが厳しくなりましたね。
家の近所の木々の葉が何気なく紅葉していたりして、「今年も冬が来るんだなあ」と実感しています。
寒いのは嫌いだけれど、お酒造りの季節だと思うと何だかソワソワします。
今年もいいお酒が出来ますように、と少し祈るような気持ちになったりして。
職業病です〜。

さて、いいお酒が出来るにはいいお米がなくてはなりません。

10月17日(一か月近く前かも…)
泉橋酒造さんが主宰する「稲刈り」イベントに参加させていただきました。
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挨拶をされる橋場社長。
今年の夏の天候で心配されたお米の出来でしたが、泉橋酒造さんの自営田、契約栽培米は大丈夫!とのこと。
良かったです。

150人以上参加する大きなイベントでした。

稲刈りの仕方の説明も丁寧でした。
鎌を持って稲を刈るなんて、初めての経験!
楽しそうです。



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と思っていたのは最初だけで、腰が痛い。
刈っても刈っても稲がまだある〜。


で、すぐ諦めて写真係になる。
根性のない私です。

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刈り終わった田圃はこんな感じ。
雄町米を稲刈りさせていただきました。


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ザリガニ採りに興じる。
なぜか、こういうときは大人の方がムキになる。(笑)
田圃の中はカエルやクモ、いろんな虫たちがいて、座り込んで田圃の中を見ていると子供でなくても面白いです。
生物多様性ってこういうことなんだと改めて思ったりします。
体験をすることは大切ですね。


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この後は、いづみ橋のお酒を泉橋さんのお味噌やお米などで作った美味しいお料理と一緒に野外でを堪能させていただきました。

楽しくて貴重な体験をさせていただき、ありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 05:49| 蔵元訪問

2010年10月19日

北島酒造さんへ

秋は出かけ過ぎて…
ブログの更新が遅れています。

勉強と称して「分とく山」へ行ってきました。
シンプルだけど考え抜かれたお料理法(と私には感じました)とか、気持ちのいいサービスってこういうことなのかとか、いろんなことを考えさせられました。
それからちょっと前には「スープ・オペラ」のお料理を担当されていた「ラファンドール」へ。
もうちょっとワインの勉強もしなおさなくてはと、ワインのセレクトをやや失敗した私は反省。(ご一緒して下さった方、ごめんなさい。)
映画も観てみようと思っています。



さて、広島から滋賀へ

今回の旅程は
島根→広島→滋賀→大阪→滋賀
大阪で一緒に飲みたい人がいて、新幹線で戻りました。
主人には呆れられたけれど、いろんな方にお会いできて楽しかったです。


さて、滋賀県の『北島』を造る北島酒造さんへお邪魔させていただきました。
駅まで北島専務が迎えに来て下さいました。
お忙しいのに申し訳ありません…


とても立派な門構えで、ちょっと気後れ。
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お蔵の中も設備もとても立派でした。
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麹室が二つありました。
出麹室まできちんと温度湿度管理ができるものを持っていらっしゃるなんて凄〜い。


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これは洗米したお米の水を切るための脱水器(機?)。
回転数をコントロールできるので、精米歩合に応じて、米質に応じて使い分けられるそうです。
初めて見ました。

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お米を蒸す甑も2つ。
スーパーヒーター付?



仕込み蔵も立派で、温度管理がしっかりできるようになっていました。
工場のような新潟の清酒蔵以外で、こんなに近代的な設備を整えていらっしゃるお蔵を久しぶりに見させていただきました。


それから古い仕込み蔵も見せていただきました。
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大塚屋で扱わせていただいている
『北島生もと 渡船』101016_1812~01.jpg

『北島生もと 吟吹雪』SN3D05300001.jpg

はこちらの蔵で仕込んでいらっしゃるそうです。



18BYから21BYまでをきき酒をさせていただきました。
北島専務が純米酒を仕込むようになられてから、実はそれほど年数は経っていません。

でも、ちょっとびっくりしたのは
「この醸造年度のお酒は、蔵元交流会の出品酒のお酒のタイプに似ている気がするのですが?」
とお聞きしたら
「その年は上原浩先生の本の通りに忠実にお酒を造ってみました。」
とおっしゃったことでした。
本の通りにやってみて、その通りに造れるのって凄いかも。

それから「生もと」のお酒についても、「こういうお酒に仕上げたい」という方向にお酒が出来上がっていることに驚きました。
北島専務の想いと出来たお酒が一致しているように感じます。



きき酒の途中で北島専務の奥様がいらっしゃいました。
とっても可愛い奥様でした。

「蔵を見学してどうお感じになられました?」
と聞かれました。

近代的な設備が充実していることに驚きましたと正直に答えると
「伝統的な古いものばかりが良いように言われるんですけれど…」
と奥様は遠慮がちに言われて、最後の言葉を濁されていました。

なんとなくそのお気持ちわかります。

「生もと造り」が見直されてきた背景には、高度な技術を駆使した近代的なお酒造りが地酒の個性を失わせてしまって、質は高いけれど画一的で没個性のお酒が増えてしまったことにも一因があると思います。

でも、だからといって近代的な効率のよい設備すべてを否定する必要はないといろんな蔵へお邪魔させていただいて私は感じています。
「温故知新」とよく言うけれど、古いものの中からその核心となる部分をきちんとつかみ取る感覚さえあれば、新しいものも上手に使える方がいいように思います。

きっと奥様もそう仰りたかったのではないかしら?と思いました。



北島酒造さんの今年の造りもとても楽しみにしています。

北島専務、奥様、ありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 09:57| 蔵元訪問

2010年10月14日

第14回竹鶴酒造呑切会

出雲から広島竹原の竹鶴酒造さんへ。

今年で第14回となる小笹屋竹鶴呑切会へ参加をさせていただきました。

まず、竹鶴社長のお話。IMG_1747.jpg

「プロダクトアウト」「マーケットイン」という言葉で竹鶴酒造さんのこれまでのことをお話されていました。
経営の難しいことなんて私にはよくわからないけれど、竹鶴のお酒は「替えのきかないお酒」だなあとよく思います。


芸能でもスポーツでもそうだけれど、何かを習得しようとするとまず「真似る」ことから始めます。
「習う」とはそういうことだと私なりに思うところがあって、それをきちんと出来る職人さんのいる蔵はきっといいお酒ができるのではないかと思っています。

その技術を習得した後、どういう方向に進むか。
蔵元さんの考え方、造り手さんの考え方がここからは大きく影響するところだと思います。


竹鶴専務のお話。
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竹鶴専務は酒造用水についてお話して下さいました。
「灘の宮水」という言葉があるくらいだから、お酒造りにお水が与える影響はとても大きいです。


竹鶴酒造さんのお水は超軟水。
飲むと口からこぼれそうなほど膨らんでひろがって、知らない間に
すーっとのどに落ちてなくなっているという感じ。
成分について竹鶴専務から詳しくお話しいただきましたが、超文系の私には竹鶴さんのお酒の個性に強く影響しているということだけよくわかりました。
竹鶴専務、スミマセン…


面白かったのはお客様から
「もう少し、(出荷時に)優しい酒質で出すことはないのでしょうか?」
という質問があって
「私と杜氏の石川をご覧になっていただければわかると思いますが…」
簡単には信念を曲げないお二人のご様子は、確かに見た目からでも想像できそうです。(笑)


出荷時にはゴツくて、強いイメージの竹鶴のお酒ですが、熟成すると本当に優しくて、食べ物をまるーく包みこんでくれる包容力があります。
主張が強そうで、実は食べ物と一体になることが出来るお酒です。

18BYの生もと純米吟醸は、出荷時は濃厚な旨みが主張していましたが、この間開けてみたら優しく透明感も出て、お燗で本当に美味しかったです。
熟成とともにお酒も肩の力が抜けるのでしょうか?



石川杜氏のお話。
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今年は「アル添」つまり、お酒に醸造用アルコールを添加することについてお話をして下さいました。



アルコール添加や濾過のこと、お酒に使う薬品のこと。

蔵を訪問してもなかなかこういうことは聞きづらくて知ることができないです。
造り手側から積極的に開示して下さるのはありがたいことです。
酒販店として自店で取り扱うお酒の基準がきちんとできるようなります。


そのあとは、60数点に及ぶきき酒。
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同じお酒を年を追ってきき酒出来るというのは、貴重な経験でとても勉強になります。

きき酒してもやっぱりわからないのは生もとのお酒の熟成の仕方。
速醸のお酒は比較的わかりやすくて、受け取ったイメージのまま熟成をしていくような気がします。
生もとのお酒は、ちょっと違います。
飲みごろかなと思ったものが、翌年にはもっと違う変化を見せていたりして、本当に面白い。
こうだから→こうなる、という式が成り立たないのが生もとのお酒のような気がします。


今年もいろんな勉強をさせていただきました。

竹鶴社長の大きさ、竹鶴専務の信念を貫くところ、石川杜氏のお酒造りの技術、それからお水、蔵の方たち、蔵をとりまく環境すべてが出会って、「替えのきかない竹鶴のお酒」になっているんだなあと改めて思いました。

竹鶴酒造の皆さま、ありがとうございました。

京子
posted by 大塚屋 blog at 07:14| 蔵元訪問

2010年10月12日

『天穏』板倉酒造呑み切り会

今年は秋が短いですね。
ついこの間まで夏の気候だったのに、急に寒くなったり、また暑くなったり…
日本酒、ワインの試飲会や地元行事も多くて忙しいのに、美味しいものを食べに行きましょう!と誘ったり誘われたりして、ついつい出かけてしまうのが私の秋の過ごし方。
ちょっぴり肝臓お疲れモードです。



9月の最終日曜日
島根県出雲市で『天穏 てんおん』を造る板倉酒造さんの呑み切り会に初参加です。
というより、ベテラン長崎芳久杜氏が顧問となり、新しく岡田唯寛杜氏が杜氏になった板倉酒造さんでは節目の造りとなった年なんです。
これからも、ぜひ続けていただきたいと思いました。


IMG_1739.jpg

まず、板倉社長のご挨拶。
いつも温厚で、細かな気遣いをしてくださいます。
私たちのような若輩者にまで…、と本当に恐縮しております。




それから「新」岡田杜氏の挨拶。IMG_1740.jpg
ちょっぴり緊張していらっしゃる?



残念ながら長崎杜氏にはお目にかかれませんでした。
柿、タラの芽など、新しい農作物を作ってみたくて、農業研修に行かれているそうです。
長崎杜氏は、夏場は農業に従事されています。
おいくつになっても新しいことへの興味を失わない方だから、素敵なお酒を造り続けてこられたのですね。
いいなあ。
私もそんな風に年を重ねていきたいかも。


IMG_1742.jpg岡田杜氏から、いろんなお話をききました。
酒造りは5年目。
案外短いのに、センスがあるのだなあと感じました。


入社して最初の年は、長崎杜氏がすべての作業をやっていらしたそうです。
長崎杜氏、それってとても大変だったろうなあと想像できます。
岡田さんはそんな事情から一年目で、麹にさわらせてもらったのだそうです。
いい経験だったのですね、きっと。
徐々に全ての作業を教えていただいて、技術を継承して今に至るということでした。


『天穏』の酒質の説明。
これは、飲んでみるとよくわかります。
今までの『天穏』のイメージは
「シャープで美しい酸が特徴
きれいな吟味がありながら、香りは極めて穏やか
余計な贅肉をそぎ落としていった、ストイックに美しいお酒」
というイメージでした。

岡田杜氏が杜氏になった1年目のお酒をききました。
長崎杜氏のお酒の味筋はちゃんと守っていて、そこに溌剌とした若さと元気の良さが加わりました。
今年のお酒もいいかも!


秋から
『天穏 無濾過純米原酒 改良雄町』

『天穏 生もと純米原酒 改良雄町』
が発売されています。

どちらも原酒だけど、バランスがとれてきてとてもいいです。
特に生もとは食事と一緒に完結するお酒でした。

生もと造りをしての岡田杜氏の感想がありました。
「外気を入れて、外と同じ気温で造りました。
外気を入れるということで、無菌の状態でなくてもお酒は出来るのだと実感しました。
ちゃんと乳酸発酵して、感動しました。
蔵の設備を考えた時、昔の人ももと摺りのとき、この窓を開けていたんだなと思いました。」
昔の人の知恵と繋がったという実感を持たれた岡田杜氏の言葉でした。



最後の画像は島根県の食品技術センターのお酒の先生。
IMG_1744.jpg

一緒にきき酒をして下さり、講評して下さいました。
比較的若い先生でしたので、「いい、悪い」で評価するのではなくて、「客観的にみてこういうところが特徴」という評価の仕方をされていました。

今回島根に同行して下さった上石神井の「作」の理絵さんが、
「先生の評価と自分の評価が近くて、ほっとしました。
同じがいいとは思わないけれど、客観的な評価がちゃんとできるようになったという自信にはなりますよね。」

理絵さんのおっしゃりたかったこと、よくわかります。

まず、誰もが感じるものを客観的に評価することができるようになって、それからは自分の好み。
まず客観的な評価ができるようになることが大事と思っている理絵さん。
お酒を扱うプロとしての意識を持っていらっしゃるのだなあと感じました。


とてもいい経験をさせていただきました。
板倉酒造の皆さま、ありがとうございました。

京子

posted by 大塚屋 blog at 07:19| 蔵元訪問