今年もよろしくお願いいたします

2014年01月29日

『泉橋酒造講演会』 ご参加ありがとうございました

1月18日
泉橋酒造橋場友一社長講演会
『酒造りは米作りから―農醸一体―』
に多くの方にご参加いただきました。

ありがとうございました。

泉橋講演会 橋場さん@.jpg
(画像は、当日ご参加下さった日本酒ジャーナリスト山本洋子さんからお借りしました
洋子さん、ありがとうございます!)
http://www.yohkoyama.com/archives/60896


講演の講師には、神奈川県海老名市で酒米作りから携わる、泉橋酒造の橋場社長にお越しいただきました。

酒米作りに携わる酒蔵も、最近では随分増えてきました。
それでも泉橋酒造さんのように、自社の清酒(すべて純米酒)の製造量のほとんどを、自社や契約栽培のお米で賄える蔵は、実はまだまだ少数です。



「酒造メーカーは【酒造りの専門職】と考えれば、原料のお米を作るのは農家さんにお任せしておけばよいのでは?」
というのが泉橋酒造さんとお付き合いする前の私の素朴な疑問でした。
泉橋酒造さんとお付き合いをさせていただき、お酒の事も含め『食』を取り巻くいろんなことを勉強していくうちに、農業の事もちょっとずつ知り少しずつ考え方も変わってきました。

「よいものを造るには、よい原料を手に入れないといけない」
「よい原料を手に入れるには、その原料を作る業界のことも考えなければいけない」
「お互いによい関係を保たなければ、よいものは造り続けられない」

泉橋酒造さんとのお付き合いの中で、そんな当たり前の事を気付かせていただきました。



泉橋酒造さんでは、平成7年の食管法の廃止をきっかけに早くから酒米作りに携わり、地域の農家さんと一緒に「相模酒米研究会」を立ち上げています。
その「相模酒米研究会」の作った酒米の品質が認められ、今年度から神奈川県の酒造好適米として「山田錦」が登録されたそうです。
登録によって「神奈川県産山田錦」という表記が出来るようになり、出荷量の80%が一等米という喜ばしい結果も出たそうです。


泉橋講演会 橋場さんA.jpg


さて、今回の講演会は、せっかく『食』にかかわる仕事についているのだから、私自身も含め農業についてもう少し勉強して、お客様にいろんな事をお伝え出来たらいいなと思ったことがきっかけでした。
飲食店さんたちは私たちよりさらに『食』の最前線で仕事をしていらっしゃいます。
そういう方たちに、ぜひ日本酒そのものだけでなく、その背景にあるものについても一緒に考えていただけたらと思いました。



職業柄でしょうか、日本酒のことを考えるとき、ついついワインと比べて考えてしまいます。

「ワインは農産物」という言葉をワインの関係者は良く使いますが、それはできた葡萄の良し悪しがそのままワインの味に移行するという意味で使うことが多いです。

「日本酒の場合はその性質上(ワインは単醗酵、日本酒は並行複醗酵などの理由もあり)この言葉が当てはまらない様に思うのに、何故原料から手掛けるのですか?」
と橋場社長にお聞きしたことがあります。

橋場社長の答えはまったく私の予想と違っていました。

「田圃は子孫からの預かり物、田圃は日本の国土そのものだから、守っていかなければならないものだと思います」

「田圃の多面的機能、田圃は構造物、という言葉を聞いたことがありますか?」

傾斜地や荒れ地のようなところでの栽培が向く葡萄と、その葡萄から造られるワイン
国土を形成する田圃、そしてその田圃で作られるお米、日本人の主食でもあるお米を使う日本酒
その二つを同じ土俵で比べて考えるのは無理があるということでしょうか。

田圃が国土そのものという感覚は、都会で育った私には想像もできないことでした。
出来たお酒の味がどうのと言う前に、日本人として考えなくてはいけないところ、そこに初めて気が付きました。


「田圃は守らなくてはいけないもの」

そう考えると、純米酒を造ること、純米酒を売っていくことはとても意義深い事だと感じます。

純米酒の製造量、消費量が増えれば、日本の農業も少しずつ変わっていくかもしれない。
そんな夢のような事を楽しく考えられたのは、『食』の最前線にいる飲食店さんたちやお酒に興味を持ってくださる方たちと一緒に橋場社長の講演を聞けたから。



今回の講演会は「田圃は守るべきもの」という視点に立って、お酒造りのことや農業と酒蔵の歴史的な関係、現在の農業政策についてなど、いろんなお話をしていただきました。

その他にも
・食用米は余っているのに酒米は足りないことについて
・減反(生産調整)と耕作放棄地について
・泉橋酒造さんの取り組み

など、橋場社長のお話は多岐にわたり、農業の現場を知る方ならではのとても興味深いものでした。

参加されたお客様からも
「いろんな事が目からうろこでした。勉強になりました」
「特に歴史について、新しい知識が出来て嬉しい」
「お客様との話題にします」
など、たくさんの感想をいただきました。



泉橋講演会 山廃大吟醸.jpg

(お米もなるべく農薬を使わないで作るのだから、お酒の仕込みもなるべく自然な方向で・・・
蔵の若い方たちの意見もあり、泉橋酒造さんでは山廃仕込み、生酛仕込みのお酒が増えました)

泉橋講演会 黒とんぼ.jpg


泉橋講演会 吟醸味噌.jpg

(泉橋の麹と相模大豆で作られた『吟醸味噌』
毎日の食卓にも思いを馳せることはとても大切なこと)



泉橋講演会 試飲用リスト.jpg




今回の講演会は「日本酒に携わる方たちとの勉強会」という位置づけでしたが、土曜日という事もあり、お店のある方にとっては参加しづらい日程であったことをお詫びいたします。

そんな中、仕込みの時間をさいて駆けつけてくださった飲食店の方、ご遠方からお越しくださった日本酒関係の方、お休みの日にわざわざお越しくださった日本酒ファンの方、ご参加くださった皆様に心よりお礼申し上げます。

そして、お忙しい中、何度も打ち合わせにお付き合いくださった橋場社長
本当にありがとうございました。




※今回の講演会のお手伝いをして下さった方々です
 ありがとうございました!
【フライヤー・手拭いデザイン/まきしまいきかく】
【会場/吉祥寺「ラコタ」池田香奈子・武村俊】
【撮影/吉祥寺「カイ燗」小倉拓也】
【懇親会/吉祥寺「鮮魚屋」】
posted by 大塚屋 blog at 14:36| 勉強会